ドイツの高生産性
今、働き方改革が声高に叫ばれている昨今、当社は、工作機械メーカーであるDMG
森精機の代理店をしている関係上、よく、ドイツの働き方=生産性の話をお聞きしま
す。
ドイツといえば日本と比べて、生産性が極めて高いことで有名ですが、数値で言うと、
ドイツの労働時間は日本よりも2割近く少ないのですが、その生産性は1.4倍近くも
高い、という驚異的な結果になっています。
ドイツ生産性が高い理由として、次の3点を良く聞きます。
まず1つ目は国を挙げてデザインを重視しているという事です。 今では信じられない話ですが、かつてのドイツ製品は「安かろう悪かろう」で、当時世界No1だったイギリ
ス製品の6割程度の価格でないと商品が売れませんでした。
そこで「ならばデザインで差別化しよう!」と世界で初めての工業デザイン専門学校を
つくるなど、国を挙げてデザインに取り組みました。ドイツ製品はデザインが優れてい
る結果、それが付加価値につながっています。
確かに、日本でも、メルセデス・ベンツやBMWの車は、デザイン性に優れているよう
に感じますし、少々値段が高くても売れている様な気がします。ちなみに、村田本人
は、日産フーガを気に入って乗っていますが・・・。
二つ目のポイントとして、女性の社会進出を挙げることが出来ます。 日本では3歳未
満の子供を持つ女性の就業率は25%に過ぎません。しかし、ドイツでは65%にも及
びます。これはデイケアと言われる高い社会保障制度がその背景にあるのですが、この
点も日本と大きく異なるところです。
そして、意外と重要だと思う三つ目のポイントが、宗教性です。 実はドイツは宗教性
がビジネスに大きく及んでいます。例えばハノーバー市内には高層ビルがありません。
それは同市の条例で、教会よりも高い建物を建てることが禁止されているからです。
さらにドイツはプロテスタントの国であり、プロテスタントの考え方からすると、職業
とは神から与えられた召命を果たすためのものです。ドイツは教会を中心とした、宗教
を中心としたコミュニティがしっかりと根付いており、こうしたコミュニティの存在と
信仰が、生産性を高めていると捉えている人が多い様です。
一方、日本は宗教的コミュニティが全般に希薄ですが、日本人にとって最も重要なコ
ミュニティは一昔前であればムラ(村)であり、現在でいえば会社です。
こうして比較してみると日本人にとっては会社がコミュニティです。 実際、日本におい
ても高生産性の会社、あるいは好業績の会社というのは、ある意味宗教的であり、言い
換えればコミュニティが機能している、ということなのです。
ちょっと難しい話になってしまいましたが、当社としても(出来ることは限られていま
すが)、「日本は会社がコミュニティ」という視点を持ちつつ、ドイツ企業から取り入れ
るべき点を学んできたいと思っています。
ホクショー商事(株)
村田麿基