『人手不足の展開』
先日、グローバル化と人材のお話をお聞きしましたので、ここでご披露させていただ
きたいと思います。
今、日本のホワイトカラー(あくまでホワイトカラー層…これがミソですが)の人件費を
100とすると、中国が50であり、インドが10に当たるそうです。AIに仕事を奪
われると良く言われておりますが、その以前に、実は猛烈な勢いでオフショア(仕事の
海外移転)が進んでおり、付加価値の出せない仕事は気が付いたら海外に移転していく
可能性が高いとの事でした。
アメリカに、アクセンチュアという大手コンサル会社があり、同社はNY証券取引所
上場後、グローバル従業員が4万人から40万人に急拡大しています。
同社が急成長した理由は、従来のコンサルティング業務に加えて、ビジネス・プロセ
ス・アウトソーシング(BPO)事業をスタートさせた事です。 同社のBPOとは、大手
グローバル企業の情報システム部門のコスト査定を行い、そのコストを下回る費用で同
等のサービスを提供する、というのが基本スキームになっています。
なぜ同じサービスを下回る費用で提供できるかというと、前述のオフショアが前提と
なっているからです。
BPOの基本的な考え方は、ノン・コア事業を切り離してコストダウンを進めること
にあります。BPOビジネスは世界的に伸びていますが、言い換えれば身の回りの仕事
が急に無くなる可能性がある、という事になります。
そしてもう一つ…、
働き方改革の中で、正規雇用者の賃金と非正規賃金の雇用者を合わせる、という動きが
叫ばれていますが、これは政府が希望している姿=「非正規雇用者の賃金を正規雇用者
並みに引き上げる」のではなく、「正規雇用者の賃金を非正規雇用者と同等に引き下げ
る」動きに帰結するだろう、との予測もあるとの事です。
そう考えると、前述の二つの事柄は相互に連動していくと考えられるのではないで
しょうか。こうした事例から考えられる事は、残念ながら、人件費(人件費総額)は、今
後しばらくの間は「デフレ」がまだまだ続くということだと思います。
なかなか、良い提案が出来るところまでは考えが進んでいませんが、まだまだ「デフ
レ対策」さらに「人手不足対策」が、しばらくは経営上の大きなテーマになると思いま
す。
まだまだ、難儀な時期は続きますね。
ホクショー商事㈱
村田 麿基