『アメリカに学ぶビジネスモデル』
先日、ちょっと業界は違いますが、我々の仕事にも十分に参考になるお話をお聞きし
ましたので、ここにご紹介したいと思います。
アメリカの老舗百貨店、ノードストロームってご存知でしょうか?
ノードストロームは、アメリカにおいても百貨店(デパート)が業績不振に苦しむ中、過
去3期連続して業績を伸ばしているそうです。
同社の経営には3つのポイントがあります。
第1に固定客をつかんでいること。
ノードストロームが得意とする商品分野は靴です。
そしてノードストロームの社員全員が、お客様の足のサイズを測る特製の測定器を使う
ことができる様教育されています。
普通の百貨店では靴は足の裏の長さだけでサイズが決められます。
ところがノードストロームの場合は、長さだけでなく幅、高さなども考慮して、その人
の足に最もフィットした靴が提供されます。
ですから、お客様は、一度ノードストロームで靴を買うと、他の店では靴を買おうとし
なくなります。
さらに靴は消耗品です。半年~1年もすればお客は新たな靴を買い求めに再来店されま
す。 その結果、お客様が固定客となりやすいのです。
第2にデジタル化の波に乗っていること。
百貨店の売上でお気に入りの商品を見つけ、ネット販売の商品と価格を比較し、購入は
ネット販売で行うという購買行動のことを「ショールーミング」といいます。 逆に、
ネット販売でだいたいの商品の目安をつけた上で、実際には店舗に出向き手に取って商
品選定を行う購買行動のことを「ウェブルーミング」と言うそうです。
ノードストロームでは、この「ショールーミング」にも「ウェブルーミング」にも対応
した販売戦略を持っています。これを「オムニチャネル」といいます。
例えばノードストロームのカバン売り場に行ったとします。そうすると、そのお客が持
つスマートフォンに「他にもこんな商品があります!」と、自社のオンラインストアに
誘導するSNSメッセージが届きます。
そのお客がオンラインストアにアクセスすると、そこはノードストロームが運営する
ネット販売・・・「ショールーミング」に対応した戦略です。
逆に自社のオンラインサイトに訪れるお客に対しては、リアル店舗で開催されるイベン
ト情報の提供や、クーポン券を提供するなどして来店を促します。
「ウェブルーミング」に対応した戦略です。
第3に従業員のロイヤリティが高いこと。
同社では社員のモチベーションを高めるために様々な工夫をしています。
例えばサービス面で功績のあった社員を称える掲示板を、全てのお客が目にできる場所
に設置しているそうです。
また本部のスタッフ社員よりも、売り場のサービス・販売社員を評価する、現場重視の
社風を大切にしているそうです。 かつ同社は米国では珍しいオーナー企業であり、従業
員は家族であるという大家族主義の会社でもあります。
さて、振り返って当社について考えてみると、第1の固定客については、ある程度い
らっしゃるものの、先方の窓口や当社担当者の変更などで、強くなったり弱くなったり
と言った状態です。
第2のデジタル化については、ネット販売を始めて3年目になりますが、「オムニチャ
ネル」など、まだまだの状態です。
第3の従業員のロイヤリティについては、オーナー企業でもありますし家族主義も取っ
ています。でも、ちょっとだけ出来ているかなぁ~と感じる程度です。
こう考えると、当社がやろうとしている方向性には問題は無いものの、一つ一つの徹
底度が大きく違うと感じざるを得ない結果になってしまいました。
方向性が間違っていないと確認出来ただけでも一安心の心持ちですが、一つ一つの徹底
を進めて行きたいと思っています。
まずは、何処から手を入れて行こうか・・・こんな事を考えると、また、事業に意欲的
になってくる今日この頃です。
ホクショー商事㈱
村 田 麿 基