「被災した熊本城を見学して感じた事」
先日といっても2ヶ月近く前の事ですが、地元の組合の青年部で熊本視察の企画があ
り参加してきました。
一日目は、参加者の内の一人の取引メーカーであるブリジストンさんの工場見学をさせ
て頂き、二日目には全員で熊本城を見学しました。
今日はその熊本城について書きたいと思っています。
その熊本城、昨年4月に被災し、城壁や櫓、天守閣などの一部が大きく損壊していまし
た。地元のボランティアガイドさんに案内して頂いたのですが、崩れた城壁の石垣の石
は、すべて番号をつけて元通りに組み直すとのことです。
また、天守閣にはシートが被せられ、巨大なクレーンが建ち、修復作業が急ピッチで進
められていましたが、それでも完全に修復するには20年ほどの年月がかかるそうです。
完全に取り壊して作り直すほうが早いという意見もあるそうです。
私は、そのお話を聞いたときに、長い時間や費用がかかることは大変ですが、それも
良いように解釈すべきだと思いました。
その間、熊本の人のみならず、全国から熊本を訪れる人は、熊本城を見るたびに、震災
を思い出すと思います。そして、そのことは、自然の恐怖や天災の猛威を忘れないこと
になると思います。
人は、とかく、つらい事もそうでない事も忘れがちです。それを忘れないためには、震
災で被災した熊本城を、簡単な方法でなく、長い時間や費用をかけて修復することも大
きな意味があると思った次第です。
見学をほぼ終えて、入り口近くの城彩苑という地元名産品などを売っているお店が並
ぶところで少し休憩していると、知らない男性から「どこから来たのですか」と声をか
けられました。私は「金沢からです」と返答したのですが、男性は嬉しそうな顔をして
「差し上げるものはこれしかないのですが」と言って、カバンの中に入っていた、くま
モンのキャラが書かれた地元銀行のティッシュペーパーをひとつずつ私たちにくれまし
た。
その男性は、銀行の人でも、震災復興に直接携わっている人でもないとの事でした
が、「時々くるのです」とおっしゃっていました。
地元の方でしたが、熊本や熊本城に特別の思いがお有りなのでしょう。
被災した熊本城を遠くから見に来た私たちに何らかのおもてなしをしなければと思われ
たのかもしれませんが、私には、そのティッシュペーパーにその男性の思いが詰まって
いるようでとても貴重なもののように思えました。
地震や台風の被害を受ける日本では、私たちもいつ被災者になるか分かりません。
被災地に寄り添う気持ちを持ち続けると共に、いつ来るかもしれない災害に備えをする
ことがとても大切だとつくづく思った熊本視察でした。
今回は、取り留めのない話題になってしまいましたが、少し感じたことを書いてみまし
た。
ホクショー商事㈱
村 田 麿 基