『これから日本のものづくりが注力すべき分野』②
パート①では、長々と産業の歴史の話をさせて頂きました。
これは、私が「歴史好き」のセイもありますが、歴史に学ぶ姿勢が無ければ、将来の展
望も開けないと思っているからで、決して間違っていないものと自負している次第で
す。
さて、歴史を鑑みて愚考するに、これから日本のものづくりが注力すべき分野・・・私
は、ズバリ「重要部品」だと思っております。
例えば昨年、ドイツのKUKAというロボットメーカーが中国に身売りした様です。
KUKAはドイツNo1のロボットメーカーですから、一見するとドイツは重要産業を
手放した様にも見えます。
しかし産業用ロボットというのは、精密減速機と、ACサーボモーターと、コントロー
ラーの3点セットがなければ生産することはできません。この3点セットはドイツと日
本のメーカーの寡占状態になっています。
精密減速機ですと、
・ハーモニックドライブ(日本)
・ナブテスコ(日本)
・ヴィッテンシュタイン(ドイツ)
ACサーボモーターとコントローラーでしたら、
・シーメンス(ドイツ)
・ハイデンハイン(ドイツ)
・安川電機
・三菱電機
ドイツとしてはセットメーカーをやっていても価格競争になってしまうので、セット
メーカーにとって必要不可欠な重要部品に絞込み、そこで国際競争力を高めようとして
いる様にも見えます。ドイツは「重要部品」に注力していると言えるのではないでしょ
うか。
日本も同様で、アイフォンの中に入っている電子部品のうち重要部品となる大半が村田
製作所、太陽誘電、ローム、TDK、日本電産といった日本製です。
また、最近良く見かけるようになったテスラモーター(アメリカ製電気自動車)も、核と
なるバッテリーはパナソニックと共同開発をしています。
そう考えると、日本としては、『高付加価値重要部品』と『製品・部品をつくるための
生産財』(工作機械や専用ライン)に注力していくことが、国際的分業の中で競争力を高
めていくことにつながると愚考いたします。
また「部品」「生産財」であれば、いかに関税をかけられても、また円高だったとして
も「完成品」ほどの影響は受けにくい特徴があります。
また、おまけとして、「部品」「生産財」はそもそも市場が小さくニッチですから、
「完成品」ほどのライバルはいません。
今後、コンセプト開発はアメリカ、生産は台湾・中国、部品と生産財はドイツと日本、
という構図が定着するのではないでしょうか。
そんな予想に立って、当社としても、「部品」「生産財」を作っているお客様に、北陸
地域だけといった地域を問わず、積極的にアタックしていきたいと思っています。
ホクショー商事㈱
村田 麿基